通信制大学が学歴にならないって本当?就活でアピールできる3つのこと

「大卒の資格くらいは取っておきたい」
「通信制大学は、学歴にならないって本当?」
「通信制大学の卒業だと、就職に響く?」

求人情報では、応募資格を「大卒以上」としている企業も少なくありません。進路は未定でも、「大卒」の資格だけは取っておきたいと考える方も多いでしょう。自分のペースで学習を進められる通信制大学ですが、「学歴に偏見をもたれる」「高卒とみなされる」などの噂があるのも事実です。

結論から言うと、通信制大学も、文部科学省が認可した法律上の「学校」です。卒業後に得られる「学位」も、通学制との違いはありません。

こちらの記事では、通信制大学で「大卒」の資格を取得する方法や、就活でのアピール方法などを解説します。通信制大学への進学を考えている人は、ぜひ参考にしてくださいね。

目次

通信制大学で大卒の資格を取る条件

通信制大学で「大卒」の資格を取るには、次の2つの条件を満たす必要があります。

1.   高卒であること

大学への入学は、高卒以上が必須です。高校を卒業していない方は、次のような選択肢を検討してください。

  • 通信制高校で学び直し、卒業する
  • 高卒認定試験を受験し、合格する
  • 特修生制度がある大学で1年間履修する

特修生制度で所定の単位を取得すれば、大学入学の資格を得られます。

2.   大学を正科生で卒業すること

大学を卒業するには、正科生として入学する必要があります。受講生の目的は、おもに次の4つがあります。

  • 正科生:卒業を目的とした学生
  • 科目履修生:単位取得のみを目的とした学生
  • 聴講生:講義を聴講することを目的とした学生
  • 特修正:大学入学の資格を目的とした学生

正科生にも、1年次入学や、3年次編入学などがあります。大学で所定の単位を取得している方なら、編入学も可能です。

通信制大学は就活で不利にならない

通信制であれ通学制であれ、卒業で得られる学位の種類は同じです。就職活動のときに、不利になることはありません。

また、採用のときに、大学の種類を問題にされることも少ないでしょう。2022年の日本経済団体連合会の調査でも、「採用の観点から、大卒者に特に期待する資質・能力・知識」は、次のように示されています。

特に期待する資質

  • 主体性
  • チームワーク、協調性、リーダーシップ
  • 実行力

特に期待する能力

  • 課題設定、解決能力
  • 論理的思考力
  • 想像力

特に期待する知識

  • 文系、理系の枠を超えた知識、教養
  • 専攻分野における基礎・専門知識

このように、企業は大学の種類よりも、実践的な資質・能力・知識を高く評価しています。

参考:一般社団法人 日本経済団体連合会「採用と大学改革への期待に関するアンケート結果」2022年

通信制大学だからアピールできる3つのこと

ここからは、通信制大学でアピールできることを3つ解説します。就職活動で使える例文も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

主体性・実行力

企業が学生に求める資質、「主体性」「実行力」は、通信制大学だからこそアピールできるポイントです。

通信制では自分で計画を立て、課題に取り組んでいきます。レポートを提出したり、科目履修試験を受けたりといった、実行力も養われるでしょう。

主体性・実行力をアピールする例文
通信制大学では、自らスケジュールを立て課題に取り組む必要がありました。アルバイトをしながら学び続けることは容易ではありませんでした。しかし、朝5時に起きて1時間の受講映像を視聴し、夜は課題に没頭するなど、限られた時間を最大限活用しました。
 
こうした経験から、自主性と実行力を養えました。また、目標達成に向けて主体的に行動する姿勢を身に付けられたと考えております。

論理的思考力・課題解決能力

企業が学生に求める能力、「論理的思考力」「課題解決能力」についても、アピールできます。通信制では、教授から直接教わるのではなく、自分で勉強することがほとんどです。教科書や資料を読み込んで、内容を論理的に理解しなくてはなりません。さらに、レポートを作成するため、インターネットなどで情報を集め、わかりやすく説明する能力が必要です。

課題に対して、自分なりの疑問を見つけ、答えを探していく作業も必須。納得のいく解決策を導き出す力も身に付くでしょう。

論理的思考力・課題解決能力をアピールする例文
通信制大学では自己学習が中心です。教科書の内容を正確に理解するため、キーワードを抜き出し、それぞれの関係性を整理するよう心がけていました。また、レポートを作成するときは、課題の本質を捉えて、論理の抜けがないよう吟味を重ねました。

そうした過程から、論理的に物ごとを考え、合理的に解決策を導く力が身に付きました。入社後も、学生時代に培った論理的思考力を活かし、どのような課題にも立ち向かっていきたいと考えています。

専攻分野での専門知識

企業が学生に求める知識、「専攻分野での基礎・専門知識」をアピールすることも可能です。

通信制大学では、通学の必要がないため、時間のすべてを専門分野の学習に費やせます。また、他の分野の学習で時間を取られずに、ひとつの専門分野に集中できるのも通信制ならではのメリットです。

さらに、多くの通信制大学には実務経験の豊富な社会人学生が在籍しています。スクーリングの際に、彼らの経験を共有できる機会にも恵まれるでしょう。通信制大学では、学んだ専門知識をよりリアルで実践的なものへと高めやすいのです。

専攻分野での専門知識をアピールする例文
私が通信制大学を選んだ理由の一つが、経営分野に特化した専門教育にありました。カリキュラムは全てビジネスに特化しており、経営学や会計学などの基礎科目から、マーケティングやリスク管理まで、幅広く専門的な知識を身に付けました。

また、さまざまな経歴をもつ社会人の方々と共に学ぶ機会もあり、実例に基づく生の声を聞けました。そうした学びを通じて、経営分野に関して、専門的かつ、実践的な知識を得ることができたと考えています。

後悔しない通信制大学の選び方

通信制大学では、通学制と同じ「大卒」の学歴を得られます。そうはいっても、通信制は「入学は簡単だが、卒業は難しい」とも言われているのも事実です。そこでここからは、後悔しない通信制大学の選び方を紹介します。

自分に合ったカリキュラムか

本当に学びたい分野か、しっかり検討して通信制大学を選ぶことが大切です。学習内容に興味がもてなければ、挫折してしまう可能性が高まります。

希望しているキャリアがあれば、関連した専攻分野を選びましょう。将来の進路が決まっていない方は、次のような、広い業種で役立つ知識を学べる学部がおすすめです。

文系の学部
文学部・人文学部幅広い教養と思考力が身に付く。様々な分野への対応力が期待できる。
法学部企業の法務部門だけでなく、一般企業でも活躍の場は多岐にわたる。
経済学部・商学部ビジネスの基礎知識が身に付く。企業や官公庁などでも活躍できる。
理系の学部
理学部研究職、データ解析、システムエンジニアなど幅広い選択肢がある。
工学部技術者、研究開発職に加え、経営や営業、コンサルタントなどの道もある。
情報学部ITベンチャー、企業の情報システム部門やデータ解析部門。公的機関でも情報系の人材が求められている。

自分に合った学習スタイルか

通信制大学の学習スタイルについても、要検討です。通信制は自己学習が中心。合わない学習スタイルでは、モチベーションを維持できなくなってしまいます。 特に次の点において、自分の適性と合っているか確認しましょう

  • 講義は、ライブ配信かオンデマンド形式か
  • 学習は、テキスト中心か動画教材中心か
  • スクーリングは、対面かオンラインか
  • レポート作成は、手書きかタイピングか

学習スタイルが自分に合っていれば、学習の質や成果も高まります。

通信制大学の選び方について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

通信制大学で大卒資格を得たいあなたへ

通信制大学を卒業すれば、通学制の大学と同じ「大卒」の学位が得られます。就職活動でも、通信制か通学制かを問われることはほとんどありません。実際に評価されるのは、個人の能力と入社後の活躍です。特に、主体性や実行力、論理的思考力、専門知識など、通信制大学ならではの強みもアピールできます。

ただし、通信制大学を選ぶ際は、志望分野や学習スタイルが自分にマッチしているか、慎重に検討しましょう。自分に合った通信制大学を選び、着実に学習に取り組めば、就職活動も有利に進められます。

目次