通信制高校とは、登校日数や学び方を柔軟に選べる高校の一形態です。
「通信制ってどんな仕組み?」「普通高校との違いは?」「向いているのはどんな人?」そんな疑問や不安を抱えている方に向けて、本記事では、通信制高校の制度や学費、メリット・デメリット、卒業後の進路まで、初心者にもわかりやすく解説します。
- 通信制高校とはどんな学校か?制度や仕組みを初心者にもわかりやすく解説
- 学び方・スケジュール・学費など、通信制高校での生活が具体的にイメージできる
- メリット・デメリットや「人生終わりって本当?」などの不安にも答え、進路判断のヒントに
通信制高校とは?仕組みと特徴をわかりやすく解説

通信制高校とはどんな学校?制度と仕組みの基本
通信制高校とは、自宅学習を中心に、高校卒業資格の取得を目指すための柔軟な教育制度です。文部科学省が定める「高等学校」の一形態であり、卒業すれば全日制や定時制と同様に、正式な「高卒資格」を得ることができます(参考:文部科学省|高等学校教育)。
学習は主に以下の3つで構成されています:
- レポート提出(添削学習):自宅で教科書や映像教材を使って学び、提出することで理解度を確認
- スクーリング(面接指導):年数回の登校で授業や活動を受ける(※年間10〜30日程度が一般的)
- 単位認定試験:レポートやスクーリングを終えたあと、試験に合格して単位を取得
卒業には74単位以上の取得が必要で、標準的な学習期間は3年間。ただし、転入・編入した場合、前籍校で取得済みの単位が引き継がれるケースもあります。
また、多くの通信制高校では年2回の入学機会(4月・10月)を設けており、中学卒業後だけでなく、高校中退・不登校・社会人など、さまざまな事情を持つ人が再スタートを切りやすい設計になっています。
文部科学省・東京都の認可とは?公的に認められる基準
通信制高校を選ぶうえでまず確認したいのが、「その学校が文部科学省から認可されているかどうか」です。
正式な「高等学校」は、文部科学省または都道府県教育委員会から設置認可を受けた学校法人によって運営されています。これに対し、「サポート校」や無認可の民間教育機関は、単独では高校卒業資格を得ることができません。
認可校であれば、卒業後は大学・専門学校への進学や企業への就職活動において、全日制と同等の「高卒資格」として扱われます。東京都をはじめ、各自治体の教育委員会では、認可校のリストを公開しており、信頼できる学校は公式サイトに「文科省認可」「都道府県認可」と明記しています(例:東京都教育委員会の認可校一覧)。
進学・卒業資格の有効性に関わる重要なポイントなので、学校選びの際は必ずチェックしましょう。
通信制高校に通うのはどんな人?多様な背景を紹介
通信制高校には、年齢や目的、学習スタイルの異なる多様な生徒が通っています。文部科学省の調査によると、通信制高校の生徒数は約29万人以上、そのうち約4割が不登校経験者とも言われています(参考:e-Stat|学校基本調査)。
以下のようなケースが代表的です:
- 不登校や高校中退から再出発を目指す人
→ 毎日の登校が難しい中で、自分のペースで学べる点が魅力 - 芸能・スポーツ活動と学業を両立したい人
→ 昼間の自由時間を確保しつつ、最小限の登校で学習が可能 - 発達特性や精神的課題を持つ人
→ 少人数制クラスや個別対応、カウンセリング支援が整った学校が多い - 社会人や主婦・主夫などの再チャレンジ層
→ 学び直しやキャリアアップのために高卒資格が必要な人も増加傾向
最近は、特別支援教育のノウハウを取り入れている学校や、オンラインカウンセリング・ICT教材・個別面談制度などサポート体制が充実した学校も多く、「通えない」「続かない」という不安を抱える人でも安心して通えるようになっています。
通信制高校の学び方と生活スタイル
学びのスタイルはどう違う?通学・オンライン・レポート制など
通信制高校では、全日制とは異なり、学習スタイルを柔軟に選ぶことができます。
主な学習形式には次のようなものがあります:
- レポート提出型(自宅学習中心)
教材を使って自宅で学習し、定期的にレポートを提出。自分のペースで進められる反面、計画性と自己管理力が求められます。 - 週1〜5日通学型(通学コース)
キャンパスに通いながら授業を受ける形式。クラーク記念国際高等学校や飛鳥未来高校などでは、週5日通学する全日制に近いスタイルの通信制高校もあり、学習サポートや進学指導も手厚いのが特徴です。 - オンライン特化型
インターネットを通じて、ライブ授業やオンデマンド授業を受講するスタイル。居住地を問わず学べる点や、体調や状況に合わせて柔軟に学習できる点がメリットです。 - ハイブリッド型(通学+オンライン)
週数日だけ登校し、その他はオンラインや自宅で学習するなど、学習方法を自由に組み合わせるスタイルです。
また、多くの通信制高校では、教科学習に加えて探究学習やプロジェクト学習、ICT・プログラミング、資格取得支援などを取り入れた独自カリキュラムを導入しています。
たとえばN高等学校などでは、プロジェクト型学習や起業体験、動画制作など、生徒の「好き」や「得意」を活かした学びにも力を入れています。
ただし、こうしたスタイルは一部の学校に限定されるため、希望する学び方ができるかどうかは、事前に確認することが大切です。
1日のスケジュール例でイメージしよう
通信制高校では、学習の自由度が高く、「自分の生活リズム」に合わせて1日を設計できます。以下に代表的な3つのスケジュール例を紹介します。
【例1】自宅学習中心スタイル(週1スクーリング)
時間帯 | 内容 |
---|---|
09:00〜10:30 | 数学の映像授業+レポート作成 |
10:30〜12:00 | 英語のオンライン講義+課題提出 |
12:00〜13:00 | 昼食・休憩 |
13:00〜15:00 | 自由時間(アルバイト・趣味など) |
15:00〜 | 課外活動・SNS交流・進路調査など |
【例2】週3通学+オンライン併用型
時間帯 | 内容 |
---|---|
09:30〜10:20 | 国語の対面授業 |
10:30〜11:20 | 英語のICT教材学習 |
11:30〜12:20 | 個別進路相談 |
12:30〜13:30 | 昼休憩(友人と会話) |
14:00〜 | 自宅に戻り、探究課題のオンライン学習 |
【例3】週5通学型(クラーク記念国際高校などのモデル)
時間帯 | 内容 |
---|---|
08:45〜09:30 | 朝のホームルーム・生活指導 |
09:40〜12:30 | 数学・英語・理科などの主要授業 |
12:30〜13:30 | 昼食 |
13:30〜15:30 | ICTやプレゼン授業・部活動など |
15:30〜16:00 | 放課後学習サポート・自習室利用 |
このように、通信制高校では「通わない自由」と「通える安心感」の両方があり、家庭や本人の状況に合わせて最適なスケジュールを設計することが可能**です。
通学の頻度・スクーリング・サポート体制について
文部科学省の定めでは、通信制高校における面接指導(スクーリング)は年間で各科目につき1〜3日以上が必要とされています。
ただし実際のスクーリング形態は学校ごとに異なり、以下のような選択肢があります:
- 集中スクーリング型(数日間の合宿形式)
- 週1〜5日登校型(通学コースを持つ学校)
- バーチャルスクーリング型(メタバースやZoomを活用)
最近では、N高やS高のようにバーチャル空間での登校・グループ学習が可能なシステムや、メンター複数体制を導入している学校もあり、遠隔でも手厚いサポートが受けられます。
さらに、以下のようなサポート体制を整えている学校が増えています:
- 専任カウンセラーやスクールカウンセラーによる面談
- 不登校経験者向けの個別支援・ソーシャルスキルトレーニング
- 進学・就職のためのポートフォリオ作成支援や模試対策
「一人ひとりの距離感・不安・特性」に寄り添った設計ができる学校かどうかが、進路選びにおいて重要なポイントです。
学費はいくら?公立・私立の違いや支援制度も紹介
通信制高校の学費は、学校の種類やコースによって幅があります。
区分 | 年間学費目安(授業料・教材費等含む) |
---|---|
公立通信制高校 | 約3〜5万円 |
私立通信制高校 | 約20〜40万円(コースにより変動) |
たとえば、N高等学校のオンラインコースでは年間約39万6,000円程度が目安ですが、就学支援金制度を利用することで、年収に応じて実質的な負担が大きく軽減されることもあります(参考:文部科学省|高等学校就学支援金制度)。
私立校では、奨学金制度・兄弟割引・教育ローンなども整備されており、家庭の経済状況に合わせた支援が可能な学校が多数あります。
通信制高校のメリット・デメリットと向き不向き
通信制高校に通うメリットとは?
通信制高校には、全日制高校とは異なる魅力が多数あります。近年では、不登校経験のある生徒だけでなく、自分のライフスタイルに合わせて学びたいという理由で選ぶ人も増えています。主なメリットは以下の通りです。
1. 自分のペースで学べる自由な学習環境
週1〜5日から通学頻度を選べたり、自宅やオンラインで学習できたりと、時間や場所に縛られずに自分のスタイルで学べます。アルバイトや趣味、家事との両立もしやすくなっています。
2. 人間関係の不安を軽減できる
少人数クラスや個別サポートが充実しており、集団生活が苦手な人や過去に不登校を経験した人でも安心して学べる体制があります。
3. 興味のある分野に特化できる
学校によってはプログラミング、芸能、スポーツ、英会話など、多様なコースを設置しており、好きなことを活かした学びが可能です。
4. 学費面での負担が比較的軽い
公立の場合は年間3〜5万円程度、私立でも就学支援金制度や奨学金の利用で、経済的な負担を抑えつつ通うことができます。
5. 学び直し・再チャレンジがしやすい
中退や不登校、社会人からの再進学など、さまざまな経歴の人が在籍しており、「もう一度やり直したい」という思いを受け止める環境が整っています。
通信制高校のデメリットと注意点|事前に知っておきたいこと
メリットが多い一方で、通信制高校には向き・不向きがあります。選ぶ前に把握しておきたいデメリット・注意点を整理します。
1. 自己管理力が求められる
レポートの提出や学習スケジュールの管理は自分で行う必要があります。モチベーションの維持や時間管理に苦手意識がある場合は、サポート体制が整った学校を選ぶのが安心です。
2. 進学実績や就職支援は学校によって差がある
大学進学や専門学校への進路を考えている人は、進路指導や指定校推薦、模試サポートの有無などをチェックすることが大切です。
3. 「通信制=問題がある人」という誤解が残っている場合も
徐々に社会的な認知は広がってきているものの、一部には根強い誤解もあります。保護者や周囲との対話も重要なステップです。
4. 学校による質の差が大きい
民間が運営する私立通信制高校も多く、カリキュラムの自由度がある一方で、学校ごとの支援体制や学習環境に差がある点には注意が必要です。
どんな人に向いている?向いていない?適性チェックと選び方のポイント
通信制高校が向いている人
- 自分のペースで無理なく学びたい人
- 朝が苦手で通学に不安を感じている人
- 趣味やアルバイト、家庭の事情と両立したい人
- 特定の分野(芸能・IT・語学など)に集中したい人
- 一度中退・不登校などを経験し、再チャレンジしたい人
通信制高校が向いていないと感じやすい人
- 学習計画を立てたり管理したりするのが苦手
- 毎日登校して友人と過ごす学校生活が重要だと感じる
- 通信学習だと集中力が続かない/孤独を感じやすい
向いていないと思っても大丈夫!不安をカバーできる通信制高校の選び方
「通信制高校は向いていないかも…」と思っている人も、学校選びを工夫すれば無理なく続けられるケースがたくさんあります。
以下は、よくある不安とそれをカバーできる学校選びのヒントです。
不安・苦手なこと | 学校選びのヒント |
---|---|
学習のペース管理が苦手 | 担任制や学習コーチ制度がある学校(例:週1の個別指導や進捗面談) |
一人での学習が不安 | 通学型・グループ授業・プロジェクト学習がある学校 |
友達ができるか不安 | 定期的なHRやイベント、部活動がある学校を選ぶ |
将来の進学が不安 | 大学進学実績があり、模試やポートフォリオ指導がある学校 |
家では集中できない | 自習スペースやラーニングルームを併設したキャンパスがある学校 |
通信制高校の強みは、学び方を自分に合わせてカスタマイズできる柔軟性にあります。
「向いているか」より「どう選ぶか」が大切
通信制高校は「特別な人のための選択肢」ではなく、今の時代に合わせた“新しい普通の進路”のひとつです。
また、通信制高校を卒業すれば、全日制高校と同じ「高卒資格」が取得できるため、大学・専門学校への進学、企業への就職なども可能です。
向いていないからといってあきらめず、まずは複数の学校を比較し、資料請求や説明会で「自分に合うかどうか」を確かめてみてください。
通信制高校のよくある誤解と実際の声「人生終わり」って本当?
ネットで見かける「通信制高校=人生終わり」という声の実態
「通信制高校に通ったら人生終わり」「就職できないって本当?」
こうしたネガティブな言葉をインターネット上で目にして、不安になる人も少なくありません。
ですが、これらの声の多くは偏見や古いイメージによる誤解です。
たとえば、「通信制は不登校の子が行くところ」といった印象は、過去のものであり、今では芸能活動、スポーツ、IT、子育てとの両立など、多様な理由で通信制高校を選ぶ人が増えています。
実際に通信制高校を卒業した人たちは、その後に大学進学・専門学校進学・就職・起業など、多様な進路に進んでいます。通信制高校を出たからといって「人生が終わる」ようなことは、決してありません。
通信制高校の卒業後は?進学・就職などの実例
文部科学省の調査でも、通信制高校の卒業生の多くが進学または就職に進んでいることが示されています。
進路の実例としては以下のようなものがあります:
- 大学・短大進学(例:通信制高校+指定校推薦)
- 専門学校進学(看護・福祉・IT・美容など)
- 就職(販売、製造、IT企業など)
- 起業・フリーランス(動画制作、Webデザインなど)
また、学校によっては進路サポートが非常に手厚く、大学進学コース、ポートフォリオ制作支援、就職模試対策などが整っている通信制高校も多くあります。
通信制高校の卒業生も、履歴書上は「高卒」として正式に扱われるため、公務員試験や一般企業への応募で不利になることはありません。
大切なのは「どのように学び、どんな経験を積んだか」。その姿勢や意欲が評価される時代です。
実際に通っている生徒・卒業生の声を紹介
通信制高校に通う生徒たちの声には、自分のペースで学べる安心感や、過去の挫折から立ち直る経験があったというものが多く見られます。
「中学では不登校でしたが、通信制高校では人と比べずに過ごせるのが救いでした」
「週3日通いながら、午後はアルバイトと動画編集の勉強をしています。将来は映像系の大学に進みたい」
こうした声は、通信制高校が「人生をやり直せる場所」「自分を取り戻せる環境」であることの証拠でもあります。
通信制高校は“終わり”ではなく“始まり”
「通信制高校=人生終わり」という考え方は、もはや時代遅れです。
通信制高校は、自分のペースで安心して学べる場所であり、「向いていない人が仕方なく選ぶ場所」ではなく、自分に合った学び方を選ぶ前向きな選択肢です。
周囲の声やネット上の否定的な意見に惑わされずに、自分の目で学校を見て、自分の未来のために選ぶことが何より大切です。
通信制高校と全日制・定時制の違い
全日制・定時制・通信制の基本的な違いを整理
日本の高校には大きく分けて3つの教育課程があります。
種類 | 授業スタイル | 通学頻度 | 時間帯 | 卒業資格 | 対象 |
---|---|---|---|---|---|
全日制高校 | 毎日学校で授業 | 週5日 | 朝〜夕方 | 高校卒業資格 | 一般的な中学卒業者 |
定時制高校 | 夕方または夜間に登校 | 週5日 | 夜間中心 | 高校卒業資格 | 働きながら学ぶ人など |
通信制高校 | 自宅中心+一部登校 | 年数日〜週5日も可 | 自由に設計可能 | 高校卒業資格 | 自分のペースで学びたい人 |
ポイントは、卒業時の資格はすべて「同じ」高卒資格であるということ。
どの課程を選んでも、履歴書上は「高等学校卒業」として扱われ、大学進学・就職・公務員試験にも問題はありません。
通信制高校の自由度と柔軟性|通学・時間割・学び方
通信制高校は他の課程と比較しても、時間や学び方の柔軟性が非常に高いのが特徴です。
- 自宅でのレポート学習が中心
- 通学回数は年数日〜週5日まで選択可能
- スマホやパソコンを使った動画授業やオンライン教材も利用可能
たとえば「朝が苦手」「人との関わりが不安」「アルバイトや家庭の事情がある」など、一人ひとりの生活に合わせて“オーダーメイドの学び方”を構築できるのが通信制高校の魅力です。
学費や生活の違いにも注目
観点 | 通信制高校 | 全日制高校 | 定時制高校 |
---|---|---|---|
学費 | 公立:約3〜5万円/年 私立:約20〜40万円/年 | 公立:約10万円〜/年 私立:30〜60万円以上/年 | 公立:約3〜5万円/年 |
制服・行事 | 学校により異なる(任意制も) | 多くの学校で必須 | 学校により異なる |
生活スタイル | 自由度が高く、自宅+通学を組み合わせられる | 朝から夕方まで学校中心 | 夜間中心、働きながら学ぶ人も多い |
通信制は「学費が比較的安い」「生活を自分でデザインできる」などのメリットがある一方、自己管理力や情報収集力が必要になる点には注意が必要です。
どの課程を選んでも“高卒資格”は同じ
よくある誤解のひとつに「通信制は学歴として弱いのでは?」という声がありますが、これは完全な誤解です。
- 高校卒業資格は学校教育法で明記されており、全日制・定時制・通信制に違いはありません。
- 通信制高校卒業後に大学に進学したり、公務員試験に合格したりする人も多くいます。
また、通信制高校だからといって、社会的に評価が下がったり就職に不利になったりすることはありません。
今の社会では、「どんな学校を出たか」よりも「その中でどう学び、何を身につけたか」が重視される傾向にあります。
あなたに合ったスタイルを選ぶのが一番の近道
最後に大切なのは、全日制・定時制・通信制のどれが「上」かではなく、自分に合ったスタイルかどうか。
- 毎日通いたい人には全日制
- 夜間に働きながら学びたい人には定時制
- 自分のペースで学びたい人には通信制
というように、どれも等しく「高校卒業」への道であり、どれも正しい選択肢です。
迷ったときは、まずは複数の学校を比較し、自分の生活や目標に合ったスタイルを見つけることから始めましょう。
通信制高校と全日制高校の違いを詳しく解説
授業・卒業条件・生活スタイルの違いを比較
通信制高校と全日制高校は、どちらも「高校卒業資格」を得られる制度ですが、学習方法や通学スタイル、卒業までの流れが大きく異なります。
以下に代表的な違いを表で整理しました。
比較項目 | 通信制高校 | 全日制高校 |
---|---|---|
授業スタイル | 自宅学習+スクーリング | 毎日学校で対面授業 |
通学頻度 | 年数回〜週5日まで学校により選択 | 原則週5日 |
時間帯 | 自由(自宅学習中心) | 朝〜夕方 |
単位の取得方法 | レポート+テスト+スクーリング | 出席+授業+テスト |
卒業条件 | 3年以上の在籍+74単位以上+特別活動30時間以上(※1) | 3年以上の在籍+105単位以上(学校により異なる) |
学校行事 | 任意参加が多い(文化祭・修学旅行など) | 原則全員参加 |
学費の目安 | 公立:約3〜5万円/年 私立:約20〜40万円/年 | 公立:約10万円〜 私立:30〜60万円以上 |
制服の有無 | 任意の学校も多い | 多くが指定制服あり |
(※1)参考:文部科学省|高等学校学習指導要領等
通信制高校では、「単位制」を採用している学校が多く、自分のペースで必要な単位をコツコツ積み上げるスタイルが特徴です。
一方、全日制高校は「学年制」が主流で、クラス単位で学習を進めていくスタイルです。
どっちが自分に合っている?選び方のポイント
どちらが良いかではなく、「自分に合っているのはどちらか?」が最も大切なポイントです。以下に、性格や生活スタイルに応じた適性を整理します。
通信制高校が合っている人
- 毎日通学するのが負担に感じる
- 自分のペースで集中して勉強したい
- アルバイトや家庭の事情がある
- 不登校や集団生活に不安がある
- 興味のある分野(IT・芸能・デザインなど)を深めたい
全日制高校が合っている人
- 規則正しい学校生活を送りたい
- クラスの友人と一緒に授業や行事に取り組みたい
- 毎日登校することに抵抗がない
- 自分で学習管理をするよりも、決まったスケジュールで進めたい
どちらを選んでも「高卒資格」は同じ
よくある誤解のひとつに「通信制は学歴として弱いのでは?」という声がありますが、これは完全な誤解です。
- 通信制・全日制・定時制は、いずれも学校教育法で「高等学校卒業資格」として同等に認められています(参考:文部科学省|高等学校教育の制度について)。
- 卒業後は大学・専門学校への進学、公務員試験、就職などにも同様にチャレンジできます。
また、社会的な評価においても、通信制高校卒業というだけで不利になることはありません。
大切なのは、「その学校でどのように学び、どんな力をつけたか」です。
迷ったときのアドバイス
どちらにしようか迷ったときは、まずは資料請求や学校説明会に参加して、自分の目で確かめてみることが大切です。
それぞれの学校の雰囲気やサポート体制、通学頻度などを比較することで、あなたに合った進路が見えてきます。
通信制高校に関するよくある質問【Q&A】
まとめ 通信制高校を正しく理解し、自分に合った進路を選ぼう
通信制高校は、「不登校だったから仕方なく行く場所」でも、「学力が低い人のための学校」でもありません。
今では、自分の時間を大切にしながら、自分らしい学び方を選びたい人が“あえて”選ぶ進路のひとつとして、通信制高校は確かな選択肢になっています。
本記事では、通信制高校の制度や仕組みから、学び方、メリット・デメリット、他の高校との違い、よくある誤解、向き不向き、入学方法までを詳しく解説しました。
この記事でわかること(おさらい)
- 通信制高校でも、全日制と同じ高卒資格が得られる
- 学習スタイルや通学頻度を自分のペースに合わせて選べる
- 不登校経験者、芸能活動と両立したい人、社会人など幅広い人が在籍
- サポート体制が整った学校を選べば、学習が苦手でも安心できる
- 進学・就職・資格取得など卒業後の選択肢も豊富
- 資料請求や説明会を活用して、自分に合った学校選びが重要
最後に:あなたらしい高校生活を叶えるために
通信制高校は、進路に悩むあなたにとって「人生を再設計できる場所」であり、「これまでとは違う自分を見つけられるチャンス」です。
大切なのは、“どこで学ぶか”よりも、“どう学ぶか”。
- 今の学校に合わないと感じている人
- 不登校や中退を経験し、もう一度学び直したい人
- 毎日学校に通うのがしんどいけれど、将来のために学びたい人
そうした悩みや思いを持っているなら、通信制高校という選択肢を前向きに考えてみてください。
保護者の方へ
お子さまが通信制高校を希望しているとき、「将来が不安」「本当に続けられるの?」と感じるのは自然なことです。
しかし、今の時代は“通学型”だけが正解ではありません。
通信制高校は、本人のペースや状態に合わせて柔軟に学べる選択肢であり、しっかり卒業し、進学・就職に繋がる実績も年々増えています。
まずは資料を取り寄せ、一緒に見て話し合うことから始めてみてください。
「わが子に合った学び方」が見つかれば、きっと前向きな未来が開けます。