通信制大学とは?わかりやすく徹底解説

令和5年度の文部科学省の学校基本調査で、通信制大学の私立校の学生数が22.3万人と発表されました。働きながら学ぶことができ、資格やスキル取得を目的に社会人の学生も増加している通信制大学。この記事では、通信制大学とは何かをわかりやすく解説します。

目次

通信制大学とは?

通学制の大学と何が違うの?

通信制大学とは、インターネットでのオンライン授業や教材を使って、自宅学習にて単位を取ることのできる大学です。通信制大学の卒業に必要な単位数は124単位で、一般的な通学制大学と変わりはなく、通信制だからといって学ぶ内容が薄くなるわけではありません。そのため、通学制大学との大きな違いは、キャンパスに通う必要があるかどうかということ主になります。

通信制大学の学費メリット

通信制大学は、学費の安さからも選ばれることが多いです。一般的な通学制大学に4年間通った場合と比較し、3分の1以上安くなる場合がほとんどです。通信制大学の場合、施設や設備に掛かる費用が発生しないため、学費を安く抑えることが出来るのです。キャンパスに通う必要がなく、学費も安いという特徴から、通信制大学に在籍する人の7割が社会人となっています。

以下の記事で、通信制大学の学費について、詳細に説明していますので、参考にしてください。

通信制大学にはどんな人が通うの?

通信制大学には幅広い年齢の人が通信制大学に在籍しています。直接顔を合わせる機会がほとんど無いため、周りとの違いを気にすることなく、集中して学ぶことが出来ます。

これは、通信制大学のメリットと言えるでしょう。学生としてのキャンパスライフではなく、学びたいことを学び、必要な資格を取るために大学へ行くという人には、通信制大学が向いていると言えます。

通信制大学のメリット・デメリットについては、以下の記事にて詳細に解説していますので、参考にしてください。

通信制大学ってどれくらいあるの?どのくらい生徒がいるの?

令和5年度の文部科学省の学校基本調査によると、通信教育を実施している通信制大学は66校(うち短期大学11校)あり、大学と大学院の両方で通信教育を行っている大学は18校もあります。通信教育のみ実施している学校は8校(うち大学のみ設置3校、大学院のみ設置1校、大学と大学院設置2校、短期大学2校)あります。大学全体の学校数が810校ありますので、そのうちの8%が通信制大学です。

また、通信制大学の学生数は223,792人で、うち男性100,689人、女性123,103人とやや女性の学生が多い状況です。大学全体の学生数が2,945,599人ですので、そのうちの7%が通信制大学の学生です。

参照)令和5年度 文部科学省 学校基本調査

通信制大学で取れる資格って何があるの?

通信制大学でも、大学卒業資格はもちろん、保育士、社会福祉士、公認心理士、建築士、教員免許などの様々な国家資格の取得(受験資格の取得)ができます。子育てを通じて保育士を目指す人、仕事を通じて語学に興味を持ち教員を目指す人など動機や目的は人によって様々です。中には、高卒で働きに出た後、大学卒という学歴を取るために通信制大学を選ぶ人もいます。

資格取得を目指している人は、大学や学部によって取得できる資格は決まっていますので、あらかじめ大学の取得できる資格を見ておくと良いでしょう。

以下の表に、通信制大学で取得可能な主な資格をまとめました

スクロールできます
資格名備考・資格種別
大学卒業資格(学士)大学卒業の学歴になる
保育士国家資格
図書館司書国家資格
社会福祉士国家資格(受験資格の取得)
精神保健福祉士国家資格(受験資格の取得)
公認心理師国家資格(受験資格の取得)
建築士国家資格(受験資格の取得)
税理士国家資格(受験資格の取得)
社会保険労務士国家資格(受験資格の取得)
教員免許国家資格(受験資格の取得)
臨床心理士民間資格

以下の記事で、通信制大学で取れる資格の詳細を説明しています。参考にしてください

1日も大学に通うことなく卒業はできる?

通信制とはいえ、通学が必要なケースも存在します。

一般的には、「スクーリング」といって、卒業に必要な124単位のうち、最低30単位は対面授業を受けるという決まりがあります。しかし、この「対面授業」は条件付きでオンラインでも可能となっているため、一度も大学に行くことなく卒業することができる学校も存在します。ただし、資格取得を目指している場合、対面で実習や授業を受けないと取得できないものもあるため、事前に確認が必要です。

「スクーリング」は、自分で決めた日に学校に行って授業を受ければ良いというものから、夏季や冬季に連続した3日間など、集中して短期的に授業を受けられるものもあります。

「対面授業」は、年間で予め日程が決まっているものがほとんどであるため、事前に調べておけば仕事の調整もしやすいでしょう。また、地方に住む人のために、地方の主要都市のホテルなどで合宿形式にて授業を行なっている大学もあります。公式サイトでスクーリングの内容や年間予定を一般公開している学校がほとんどですので、気になる学校が見つかったら事前に確認しておくと良いと思います。

働きながら通信制大学で学ぶことって大変?

働きながら通信制大学で学ぶ場合、スクーリングさえ注意すれば、それ以外の普段の学習はオンライン授業や教材での実施であるため、通勤時間や朝晩の隙間時間を使って、勉強の時間を確保することが十分に可能です。それでは、社会人の場合、実際にどのようなスケジュールで勉強時間を確保しているのか、下記に例を記載します。

働きながら通信制大学で学ぶの在学生の1日

時間イベント
6:00起床
7:00朝の準備・身支度
7:30通勤 *テキスト学習(30分)
8:30出勤・始業
12:00昼休み *テキスト学習(30分)
13:00仕事再開
18:30終業・退勤
19:00帰宅
20:00夕飯・入浴
22:00テキスト学習・レポート作成(90分)
23:30就寝

通勤時間や休み時間も上手く活用すれば、1日2時間程度は学習時間を担保できます。外出先でも出来ること(テキスト学習や動画視聴、授業の振り返り等)を隙間時間で行うことで、机に向かったまとまった学習時間は最低限で済ませることができます。

急な残業や仕事終わりに予定がある日などは、週末の時間を使えば問題ありません。ただし、休日の時間を当てにし過ぎすぎると自由な時間が無くなり、精神的につらくなってしまいます。そのため、仕事のある日も勉強する癖をつけ、決めたスケジュールを出来る限り毎日実行することが大切です。

通信制大学への進学を視野に入れている方は、まず現在のスケジュールの中で試しに勉強時間を2時間確保してみると良いでしょう。そうすることで、通信制大学と仕事の両立のイメージを付けることが出来ます。慣れるまでは少し大変かもしれませんが、勉強の習慣さえ身に付けることが出来れば、2時間〜3時間程度の捻出することはそんなに難しくはないと感じるはずです。

仕事をしながらでもちゃんと卒業出来る?仕事と大学の勉強の両立に疲れてしまったらどうしたらいい?

通信制大学でも一般的な通学制大学と同様、各科目において試験があるため、計画的に勉強して試験に受かり、卒業に必要な単位数を取得する必要があります。通学制大学と異なり、自分で勉強のスケジュールを立てないといけないため、怠けて必要な勉強をしなければ試験に合格することは難しいでしょう。そのため、自分で自分を管理し、継続的に勉強を続ける努力が必要です。動画を流し見しただけで試験に受かるほど簡単ではありません。だからこそ、日々の勉強を能動的に頑張るために、通信制大学で学びたい明確な理由や目的を持つことがとても重要です。

自分で決めた目的があれば、その実現のために自分を律することが出来ます。ただし、そうは言っても、4年という長期間、仕事と勉強の両立を継続するということは難しく、途中で疲れてしまったり、やる気がなくなってしまったりすることもあるでしょう。そんな時は、SNSを利用して、同じように働きながら通信制大学に通う人の話を聞いたり、互いに励まし合ったりすると良いと思います。通信制大学に通う人は、SNSにて明るい人が多く、同じような境遇の人を見つけることが容易に出来るでしょう。

また、勉強に疲れてしまった時は、卒業後のイメージをすることも大切です。「こんな仕事をしたい」「仕事で新しい領域にチャレンジしたい」「取得した資格を利用してキャリアアップしたい」等、卒業後にやりたいことを明確化して、それを具体的にイメージしましょう。自分の目指す姿を明確にすれば、自ずとそれを実現させる日々の勉強にも身が入るはずです。

SNSで同じように通信制大学に通う人の話を聞いても、卒業後の自分をイメージしても、何をしてもやる気が起きず、気持ちが晴れない時は、思い切って一度勉強から離れてみることも有効な手段です。今日は好きなことだけをやると決めて、丸1日自分のために時間を使えば、また新たな気持ちで勉強に取り組むことが出来るでしょう。年単位で続く生活のため、ゆとりを持った計画を立て、心身ともに負担にならないペースで根気強く継続することがとても大切です。リフレッシュの時間も有効活用して、楽しみながら自分のためとなる勉強を続けていきましょう。

最後に

最終学歴が通信制大学であることに対して、通学制大学の大学卒業よりも劣っていると見る人も少なくありませんが、通信制大学であっても大学卒業であることは変わりはありません。前述した通り、どちらも必要な単位数は同一であり、単位取得のために必死に勉強した結果得られた学位です。 通信制大学だからと言って、卑屈になる必要はどこにもありません。他者と比較するよりも、自分で勉強して身につけた知識や技術に自信を持ち、自分の目指す未来のために活かすことが何よりも大切です。

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