「学校に行けないまま、このまま高校に進学できるのだろうか…」
そんな不安を抱えているのは、子ども本人だけでなく保護者の方も同じはずです。
通信制高校は、同じように悩んできた多くの生徒を受け入れ、安心して学び直せる環境を提供しています。
本記事では、不登校から高校進学を目指す方に向けて、通信制高校の仕組みや選び方、卒業生の体験談、大学進学の可能性まで、最新の情報をわかりやすく解説します。
- 不登校でも通信制高校に通える理由や仕組みがわかります
- 通信制高校の選び方、学費、面接のポイントを解説します
- 自分に合った高校選びと、その後の大学進学・就職まで見通せます
不登校でも通信制高校に進学できる?【結論:可能です】

不登校でも高校進学はできる?中学からの進路に悩む方へ
近年、不登校の生徒数が増加傾向にあります。文部科学省の調査によれば、2023年度の小中学生の不登数は約34万6千人、高等学校の不登校生徒数が約6万9千人に達し、不登校の小中高生を合わせて約41万5千人と過去最多を記録しました。 このような状況の中、高校進学に不安を感じる保護者や生徒も多いことでしょう。(参考:文部科学省)
しかし、ご安心ください。不登校の経験があっても、高校進学の道は開かれています。特に通信制高校は、多様な背景を持つ生徒を受け入れる柔軟な教育システムを提供しており、不登校経験者にとって有力な選択肢となっています。
「通信制高校とは?」基本的な仕組みと全日制との違い
通信制高校は、従来の全日制高校とは異なり、柔軟な学習スタイルを提供する教育機関です。主な特徴として、以下の点が挙げられます。
- 学習スタイルの柔軟性:自宅学習を基本とし、レポート提出やスクーリング(対面授業)を通じて単位を取得します。
- 登校頻度の選択:週1日から5日、または月数回など、自分のペースに合わせて登校日数を選べます。
- 多様なコース設定:専門的なスキルを学べるコースや、大学進学を目指すコースなど、生徒のニーズに応じたプログラムが用意されています。
一方、全日制高校は毎日の登校が基本で、クラス単位での一斉授業が行われます。このような違いから、通信制高校は自分のペースで学びたい生徒や、特定の事情で毎日の登校が難しい生徒に適した選択肢となっています。
なぜ今、通信制高校が不登校の子に選ばれているのか
通信制高校が不登校経験者に選ばれる理由は以下の通りです。
- 個別対応の充実:少人数制や個別指導を採用し、生徒一人ひとりの状況に応じたサポートを提供しています。
- 心理的負担の軽減:登校日数を調整できるため、学校生活への復帰に対するプレッシャーを和らげることができます。
- 同じ経験を持つ仲間との交流:不登校経験者が多く在籍しており、共感し合える仲間との出会いが期待できます。
実際、通信制高校に在籍する生徒の約半数が不登校経験者であるというデータもあります。 このような環境が、不登校からの再スタートを支える大きな要因となっています。(参考:文部科学省)
通信制高校はどんな人に向いている?不登校の子に選ばれる理由
登校日数が少ない|自分のペースで学べる柔軟な学習スタイル
通信制高校の最大の特徴は、登校日数を自分で調整できる点です。例えば、週1日からの登校や、必要に応じてスクーリング(対面授業)を受ける形態が一般的です。これにより、体調や精神的な状態に合わせて無理なく学習を進めることが可能となります。また、自宅学習が主体となるため、自分のペースで課題に取り組むことができ、学習の遅れを感じることなく進められます。
人間関係が不安でも安心できる|少人数制・個別サポートの魅力
不登校の経験がある生徒にとって、新しい環境での人間関係は大きな不安要素となり得ます。通信制高校では、少人数制のクラスや個別指導を採用している学校が多く、一人ひとりの状況に応じたサポートが受けられます。これにより、過度なプレッシャーを感じることなく、安心して学習や学校生活を送ることができます。
同じような経験をした仲間が多い|居場所としての学校
通信制高校には、不登校やさまざまな事情を抱えた生徒が多く在籍しています。そのため、似たような経験を持つ仲間と出会う機会が増え、互いに理解し合える関係を築きやすくなります。このような環境は、生徒にとって心の支えとなり、学校が新たな「居場所」として機能することにつながります。
通信制高校の選び方|不登校経験者のためのチェックポイント
学費の比較|公立・私立、オンライン・通学コースの費用と支援制度
通信制高校を選ぶ際、学費は重要な検討事項です。学校の種類(公立・私立)や学習形態(オンライン・通学)によって費用が異なります。
- 公立 通信制高校:年間学費 約4万円~10万円程度
- 私立 通信制高校:年間学費 約25万円~180万円程度
オンラインコースと通学コースの違い
私立の通信制高校では、オンライン学習を主体とするコースと、定期的な通学を必要とするコースがあります。一般的に、通学コースは施設利用料や通学費用が加算されるため、オンラインコースよりも学費が高くなる傾向があります。
就学支援制度の活用
2020年4月から開始された「高等学校等就学支援金制度」により、世帯収入に応じて授業料の一部または全額が支給されます。これにより、私立通信制高校でも学費負担を軽減できる場合があります。
注意点
学費以外にも、教材費、施設設備費、スクーリング参加費、制服代などの諸経費が必要となる場合があります。また、サポート校を利用する場合は、別途費用が発生することもあります。各学校の公式サイトや資料を確認し、総合的な費用を把握することが重要です。
スクーリングの頻度と場所|自宅から通いやすい学校を選ぶ
通信制高校では、定期的なスクーリング(対面授業)が必要です。スクーリングの頻度や場所は学校によって異なるため、自宅から無理なく通えるかを確認することが重要です。通学が負担にならないよう、事前にスクーリング日程や会場を調べておきましょう。
大学進学・就職など卒業後の進路支援も重要
高校卒業後の進路を見据え、進学や就職のサポート体制が整っているかもチェックポイントです。進学実績やキャリア支援の内容、インターンシップの有無など、具体的な支援内容を確認しましょう。将来の目標に合わせたサポートが受けられる学校を選ぶことで、卒業後の選択肢が広がります。
面接や受験の内容は?不登校でも受け入れられるか
入学試験の内容や面接での質問事項は学校によって異なります。不登校の経験がある場合、その理由や現在の状況を正直に伝えることが大切です。多くの通信制高校では、不登校経験者を受け入れており、面接では志望動機や高校生活への意欲を重視する傾向があります。事前に面接対策を行い、自分の考えを整理しておきましょう。
転入・編入したい場合の流れと注意点
現在他の高校に在籍している場合や、一度高校を中退したが再入学を希望する場合、転入・編入の手続きが必要です。必要な書類や手続きの流れ、受け入れ時期などは学校によって異なるため、希望する学校の事務局に問い合わせて確認しましょう。また、これまでの取得単位がどの程度認定されるかも重要なポイントです。
不登校から通信制高校へ。体験談に学ぶ選択のポイント
不登校を経験した生徒が通信制高校への進学を選択し、新たな一歩を踏み出すケースが増えています。ここでは、実際の体験談をもとに、通信制高校を選ぶ際のポイントや注意点を探ります。
通信制高校への転入で学び直しに成功した事例
中学入学直後から不登校となったH・Kさんは、通信制高校に進学し、無欠席で卒業、大学へ進学しました。彼の経験から、不登校期間中の自己理解と、新しい環境での再スタートの重要性が示されています。(参考:体験談ブログ)
不登校経験者が通信制高校を選んだ理由とその後の変化
中学時代に不登校を経験したMさんは、通信制高校への進学を決意。先生方の支援のもと、勉強への意欲を取り戻し、大学進学を果たしました。この事例は、サポート体制が充実した学校選びの重要性を示しています。(参考:明星高等学校)
通信制高校での学びが大学進学につながったケース
中学時代に不登校を経験した生徒が、通信制高校での学びを通じて大学進学を果たした事例があります。個別指導が合っていたことで、勉強面で自信を取り戻し、具体的な目標を持つようになったとのことです。(参考:通信制高校があるじゃんコラム)
保護者の視点から見た通信制高校への転入とその効果
中学3年間の不登校を経験したお子さんを持つ保護者の体験談では、通信制高校への進学が新たな道を開くきっかけとなったと述べられています。親としてのサポートと、子どもの意思を尊重する姿勢が重要であることが示されています。(参考:体験談ブログ)
通信制高校を選ぶ際の注意点とアドバイス
通信制高校を選択する際には、以下のポイントを考慮することが重要です。
- 学習スタイルの確認:自宅学習が主体となるため、自己管理能力が求められます。
- スクーリングの頻度と場所:通学が必要な日数や場所を事前に確認し、自宅から無理なく通えるかを検討しましょう。
- サポート体制:学習面や生活面でのサポートが充実しているかを確認し、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
- 卒業後の進路支援:大学進学や就職など、卒業後の進路に対するサポートが整っているかを確認しましょう。
- 学費や支援制度:学費の詳細や、利用可能な支援制度についても事前に調査し、経済的負担を考慮することが重要です。
保護者ができること|不登校の子どもの将来を支えるために
不登校の子どもを持つ保護者にとって、「どう関わればいいのか」は非常に大きなテーマです。ここでは、実際に役立つ保護者の具体的な対応方法を4つのポイントに分けて解説します。
まずは否定せず、子どもの気持ちに寄り添うことから
「なぜ学校に行けないの?」と問い詰めるのではなく、まずは「学校に行けない今の状態」を否定せず受け止めることが大切です。
多くの子どもたちは「自分が悪い」「親に迷惑をかけている」と自責感を抱えています。だからこそ、「あなたの味方だよ」と伝えることで安心感につながります。
- 子どもの気持ちを否定しない言葉掛け
- 「無理しなくていいよ」
- 「どう感じているか、少しずつ教えてくれると嬉しい」
- 「学校に行かなくても他にも道はあるから大丈夫」
親自身が「今すぐ解決しなければ」という焦りを手放し、**「他にも選択肢がある」**という安心感を持つことが、子どもにも伝わります。
「家で何をさせる?」悩んだときの具体的なアドバイス
不登校期間中、家で何をさせればいいのか悩む保護者も多いですが、まずは**「生活リズムを整えること」**が最優先です。
生活リズムを安定させる具体策
- 毎朝同じ時間に起きる:朝食を一緒に食べるのも効果的
- 日中は体を動かす:散歩、ストレッチ、軽い運動で気分転換
- 好きなことに集中する時間を持つ:ゲーム・読書・動画視聴でもOK
スマホやゲームばかりで大丈夫?という不安もありますが、まずは“安心できる居場所”が最優先。時間を決めて楽しむルールを一緒に考えましょう。
情報収集と進路相談|一緒に選ぶ通信制高校
保護者としてできる最も大きなサポートは、進路情報の収集です。通信制高校にはそれぞれ特徴があり、子どもに合った学校を見つけるには、いくつかの候補を比較検討することが大切です。
情報収集のポイント
- 学校のパンフレットを取り寄せる
- 公式サイトで学費やカリキュラムを確認
- 学校説明会・オープンキャンパスに参加(オンライン対応も多数)
- 評判や口コミも参考にする
親が情報を集めつつ、子どもにも意見を聞きながら“どんな学校が良い?”と一緒に考える姿勢が大切です。
相談先はどこ?教育相談機関・カウンセラーの活用法
不登校や進路に関する悩みは、信頼できる相談先を持つことで軽減できます。
「親だけで抱え込まない」「プロに相談する」ことも大切です。
利用できる相談機関
- 学校のスクールカウンセラー:直接話しやすく、無料で相談できる
- 教育相談センター(市区町村):公的な窓口で、カウンセリングや支援を受けられる
- 通信制高校の相談窓口:入学前から個別相談が可能
- フリースクール・NPOの支援団体:不登校支援に特化したサポートも利用可能
相談することで、親自身の気持ちも軽くなります。自分だけで解決しようとせず、プロに頼ることも一つの選択肢です。
子どもの進路に悩んだとき、まずは「一緒に悩む」「支える」という姿勢が何よりの力になります。
通信制高校という選択肢も視野に入れ、親子で安心できる環境を見つけてください。
通信制高校に関するよくある質問【Q&A】
まとめ 不登校から通信制高校へ。自分らしい一歩を踏み出そう
不登校を経験していることは、決して「失敗」や「後れ」を意味するものではありません。むしろ、その経験をきっかけに、自分に合った学び方や生き方を見つけようとすることこそ、大切な一歩です。
通信制高校は、学び直しの場としてだけでなく、「自分らしく学ぶ」「将来に向けて前を向く」ための選択肢として、年々注目を集めています。この記事では、不登校からの進路として通信制高校を選ぶ際に押さえておきたいポイントや、学費・卒業要件・転校や編入の手続き、よくある質問まで、幅広く解説しました。
もし今、「このまま高校を続けて大丈夫かな」「自分に合う学校はあるのかな」と悩んでいるなら、まずは一歩、情報収集から始めてみましょう。そして必要であれば、信頼できる通信制高校の担当者や、教育機関の相談窓口に問い合わせてみるのも一つの手です。
不登校は「ゴール」ではなく、むしろ「始まり」。
今のあなたに合う環境は、きっと見つかります。